12 Sep 2008
最近、木目を生かした現代風仏壇が人気を呼んでいます。家具と同じセンスで選べるという点で、現代人に人気があるのでしょう。一方、金箔、漆塗りの仏壇の良さは、分かってもらえなくなったのかもしれません。もちろんそれぞれの良さがありますが、今回は漆塗りの魅力を少し。漆というのは単なる塗装ではありません。ペンキなら、厚く塗った仕上げを見て素材の悪さをカバーしたものと思われても仕方がありませんが、漆は塗料それ自体が価値を持つものです。漆を塗って長居年月耐えられるように専用の仕上げを施した木地に、専門の職人が手作業で塗り重ねて行く漆は、海外では「JAPAN」と呼ばれ、日本を代表する工芸技術です。漆製品は、下地の木に何を使っているかではなく、漆の塗りの厚さや光沢などで価値が決まります。そして、正倉院御物や各地の寺社の荘厳具に見られるように、何百年も変わらぬ美しさを保ちます。とりわけお仏壇は、漆塗りの食器や調度品に比べて、はるかに大量の漆を使うため、それだけ贅沢で価値の高いものです。ただ黒いだけに見える表面も、じっと眺めているとなんとも言えない輝きや深みを感じるはずです。それが日本人の心の中にある、「正式で格調ある黒」「清浄で貴い位を表す黒」そのものです。今度漆塗りの仏壇を見る機会があったら、その表面の色合いも味わってみてください。
